読書感想文は、夏休みの定番課題。しかし、苦手としている人も多いことでしょう。ここでは、そんな読書感想文を書くのに適している小説を厳選してお届けします。
良い読書体験をして、良い感想文が書けることを祈っています。
SF大定番「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」
映画「ブレードランナー」の原作として有名な一本です。ものすごく定番作品なので、活字を読むのが苦手という人でも、あらすじがわかりやすく、オススメです。
映画版もあるので、そちらを参考にして読書感想文を書くなんてこともできます。
あらすじは、SF兼ミステリーです。近い未来において、人類は核戦争により、地球に住めなくなっていました。国家は火星に移住をすすめ、人間の大半は火星に移動します。
火星では、アンドロイドが人類の代わりに過重労働を担い、人間生活を支えていました。しかし数人のアンドロイドが反乱を起こし、人間を殺害して地球に逃亡。
主人公であるデッカードは、そのアンドロイドの追跡と殺害を命じられます。 はたして、任務は遂行されるのでしょうか。
そして、アンドロイドは人間とどこが違うのでしょうか。迷いながらも地球を探検するデッカードと、アンドロイドの行方をこちらもハラハラ、ドキドキした気持ちで一緒に追跡できます。
結末は、ご自身の目で確かめてください。ハヤカワ文庫から夏の一冊としても選出されることの多い、有名な一冊です。
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短編で勝負「玩具修理者」
読書感想文で、書きやすくてオススメなのはやはり短編でしょうか。では、こちらの小説のご紹介です。
SF兼ホラー作家、小林泰三の「玩具修理者」です。こちらもすでに女優・田中麗奈主演で、映画化されています。あらすじは、とてもシンプルです。
主人公の学校の噂では、壊れたものなら何でも直すことができる「玩具修理者」という存在がいます。
現に、おもちゃを直してもらったりした子もいるので、実在はしているはずなのですが、誰もその「玩具修理者」が何者であるかは知らないのです。
ある日、主人公は自分の弟をあやしている最中に、間違って弟を落としてしまいます。あせった主人公は弟を抱え、噂の「玩具修理者」のもとへかけつけるのですが。
弟は、戻ってくるのか。そして、「玩具修理者」とは何者なのか。どのようにして、全てのものを直すのか。見所がたくさんある小説です。
実は、「玩具修理者」と一緒に掲載されている短編、「酔歩する男」も非常に面白い小説で、どちらを読書感想文にしても問題ないクオリティとなっています。
読みやすさと面白さが一緒になった、一冊です。
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正統派でいく「金閣寺」
日本語は美しいとはいわれていますが、普段は意識してそのようなことは、考えないのではないでしょうか。しかしこの三島由紀夫の「金閣寺」は、圧倒的な筆力と描写で普段考えることのない、日本語の美を丁寧に描き切っています。
三島由紀夫の半自伝的な部分もあり、読書感想文の大定番な作品です。モデルは、1950年に起きた実際の事件「金閣寺放火事件」となっていますが、主人公の独白は完全に三島由紀夫のオリジナルです。
主人公である「私」は、生まれつきの吃音のせいで、社会に溶け込めず生活を送っている青年です。「私」の父親は厳しい僧侶で、ことあるごとに「金閣寺ほど美しいものはない」と主人公に言い聞かせて育てていました。
やがて「私」は成長し、歪んだコンプレックスを抱えたまま大学へ行き、仏教を学びます。
しかし人生の節目節目で金閣寺の幻影にとらわれ、最後にはその美しさと威厳のために「金閣寺を焼かなければならない」という妄想に囚われ始めるのでした。
何故、国宝である金閣寺に火を放つことになったのか。歪んだ自らへの憎しみと思いは、昇華されたのか。
三島由紀夫自身が、非常に自分の肉体に対しコンプレックスを持っていたということも、頭の片隅にいれて読むと、興味深いことこのうえない一冊です。
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そもそも読書感想文はどう書くか
上記の3編を、読書感想文の小説としてオススメします。ところで、読書感想文はどう書くのが良いのでしょう。非常に、難しい話です。
しかし、誰もがおかしやすいミスは、「あらすじを解説して終わる」というパターンです。読書感想文に、細かいあらすじは必要ありません。
しいていうなら、こんなシーンがあって、こういうセリフがあって、自分はこう思った、くらいで十分伝わるのです。
読書感想文は、相手にそのお話しを伝えるのではありません。自分が、その本を読んでどう思ったかを、伝える文章です。
ですのでまず、話を説明しなくても、自分がいいと思ったシーンや、印象に残った場面だけを取り出して全く問題ありません。
そして、その切り出しに対し、自分がどう思ったか、どういうものを感じたかを描くことができればよいのです。
読書感想文に、課題図書が選定されるのは、その方が何について話しているかがわかりやすいからということもあります。しかし本当であれば、自分の感じたことを描いていいのです。
特別な指定図書や選定図書がなければ、自分の思い入れが強い小説について書くのが一番です。その方が、上手に読書感想文が書けます。
最後に
夏休みの楽しい時間を本に費やすなんて、と思ってしまうこともあるかもしれません。しかし本は、歩いても走っても、飛行機でも行けない場所に連れていってくれるのです。
それは、私たちの心の中や、空想と呼ばれる世界です。
夏休みの冒険に、一冊いかがでしょうか。
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