甲子園を目指して!「栄冠は君に輝く」夏の高校野球テーマソングについて

夏の高校野球のテーマソングである「栄冠は君に輝く」は、甲子園での開会式や閉会式の他、テレビ中継での出場校紹介の時にBGMで流れたり、大会の宣伝CMで流れたりなど、夏の高校野球とは切っても切り離せない関係になっています。

また、バラエティ番組でも、高校野球と関係のある内容の時にBGMで使われたり、高校野球と直接関係ない学校の運動会だとか、地方大会の入退場や応援などにも使用される人気の曲でもあります。

最近では人気アーティストによるバージョンが出されたり、高校生によるロック版がテレビで放映されたりするなど、注目を集めました。

歌詞は文語調のところがあるのですが、「時代を超えて歌い継がれている名曲」と言うことができるのではないでしょうか。

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多くのファンを惹きつけている「栄冠は君に輝く」

ところで、この「栄冠は君に輝く」が大会歌として最初に歌われたのは、1948年でした。
この年は、高校野球にとって一つの大きな切れ目の年でした。

なぜかといえば、一つは戦後の学制の変更で「全国中等学校優勝野球大会」から「全国高等学校野球選手権大会」へと改称されたこと、もう一つは、この年が大会30周年という区切りの年だったということです。

これを機に、夏の高校野球を主催している朝日新聞が、新しい大会歌を作るために全国から詩を募集したところ、応募総数5252通の中から最優秀作品の選ばれたのが、現在歌われている「栄冠は君に輝く」だったわけです。

作詞したのは加賀大介氏(1914-1973)ですが、これに古関裕而氏(1909-1989)が作曲し、大会歌が完成しました。

その後、甲子園での夏の大会ごとに形を変えつつも歌いつがれ、球児たちはもちろん、多くの高校野球ファンを惹きつけてきました。

「栄冠は君に輝く」作詞者について

「栄冠は君に輝く」を作詞したのは加賀大介氏ですが、この人は元々野球をしていた人でした。

ところが16歳の時、試合中に右足を負傷をしたことが元で、切断することになってしまい、野球を断念したいう経緯のある人です。

その後、プロの文筆家として活躍していましたが、高校野球の大会歌の募集を知り、応募したところ当選してしまったわけです。

しかも、応募したのは自分の名前ではなく、婚約者であった女性の名前だったのです。

それは、彼女へのプレゼントということもあったのでしょうが、一番大きな理由は、当選した時の懸賞金が5万円と当時としては破格の金額で、懸賞金を目当てに応募したと思われるのがいやだったから、という風に言われています。

こうして、「栄冠は君に輝く」は加賀道子作詞、ということで通ってきましたが、本人はずっと悩み続けていたようです。

そこで20年たった1968年の第50回記念大会を機に、加賀氏は真相をあかし、本来の「加賀大介作詞」という形でようやく世に知れるようになりました。

このように、かつて野球選手として活躍しながらもケガで挫折してしまった当時30代前半の作詞者から、甲子園を目指す若者に対して、自ら果たし得なかった夢を果たすように励ます歌なのです。

だからこそ、本人が予想もしなかった5000倍以上の倍率を経ての当選という結果にもつながり、少し文語表現があるにもかかわらず、現在の野球を愛する人たちへの励ましにもつながっている、ということが言えるのではないでしょうか。

「栄冠は君に輝く」作曲者について

作曲者の古関裕而氏は、実は大作曲家といってもいい人物なんです。

なぜかというと、日本近代音楽の父と呼ばれている山田耕筰氏に認められ、日本人初の国際的コンクールで入賞を果たした、という経緯があるからです。

古関裕而氏は、元々はクラシックの世界での活躍を夢に見ていましたが、ポピュラー音楽の作曲家としても活躍するなど、様々なジャンルに曲を残しており、歌謡曲や映画音楽、テレビやラジオのオープニング曲など、様々なジャンルに渡り数多くの楽曲を残しています。

その中でも特に有名で、人気が高いのがスポーツ関係の楽曲となっています。

「栄冠は君に輝く」以外で特に有名なのは、NHKのスポーツ中継で流れることで知られている「スポーツショー行進曲」や、1964年東京オリンピックの開会式で使用された「オリンピック行進曲」、早稲田大学の応援歌「紺碧の空」、慶應義塾大学の応援歌「我ぞ覇者」、プロ野球読売ジャイアンツの応援歌「闘魂こめて」、同阪神タイガースの応援歌「六甲おろし」などです。

甲子園球場を「聖地」とする高校野球の大会歌と、阪神タイガースの応援歌がどちらも古関氏の作曲というのもおもしろいし、早稲田と慶応、巨人と阪神というライバル関係にあるチームのどちらの応援歌も古関氏の作曲、というのがおもしろいのではないでしょうか。

このことは、古関氏がスポーツを、ただ勝ち負けで終わるのではなく、それぞれがスポーツマンシップに乗っ取り、正々堂々と戦うこと、そして何よりもスポーツを通して平和が築かれることを、願っていたことの何よりの証拠ではないでしょうか。

これはまさに、甲子園のスピリットそのものであり、「栄冠は君に輝く」もこのような趣旨から出てきたものと捉えていいでしょう。

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