今では空前のペットブームということで、昔とは比べ物にならないほど犬や猫を飼う人が増えています。
もはや家族同然の扱いで、中には飼い主の方が犬や猫に身を捧げているようなケースまであります。
特に最近の猫ブームは激しく、どこに行っても猫グッズが溢れかえっているような状況です。
これだけペット市場が拡大していることを考えると、そのペットたちの体調を管理する役割も必要になります。
それが獣医師という存在です。
ペットと飼い主の体と心を救う獣医師
獣医師は人間の病気や怪我を見る医療者ではなく、人間以外の動物に対して病気や怪我の診察や治療をする専門家です。
一般的には動物病院でペットの診察をしているだけに見えますが、動物園や水族館の動物たちの管理をして治療を行うこともあります。
また、家畜動物の管理に関わることもあります。
そもそも、獣医学部では家畜を使って勉強することの方が多い時期もあります。
活動領域が幅広いので、人間のように診断科目が分かれていないのが特徴です。
そのため、幅広くいろいろなことができる能力が求められます。
獣医師として働くためには、資格が必要です。
そのためには獣医師国家試験を受けて合格する必要があります。
高校を卒業して獣医師養成課程のある6年制の大学に進んで、必要な課程を修了して獣医師試験突破を目指すことになります。
獣医師のための大学は国公立を合わせて16校程度しかないので、まずは獣医系の大学に進学するのに苦労します。
難易度は医学部にも匹敵するほど難しいと言われることもあります。
在学中は気を抜かずに勉強する必要があります。
やる気のある人に向いている獣医国家師試験
獣医国家師試験の合格率は80%程度で、これは決して低くはありません。
しかし、だからと言って簡単という訳ではありません。
そもそも獣医系の学校が少なく、やる気のある人たちが進学しているということを忘れてはいけません。
資格を取得するためには、勉強に対してのやる気が必要です。
在学中に遊んでばかりいる人では、資格試験に合格するのは難しいです。
試験の教科は20種類以上もあり、これを全てこなす必要があります。
試験はマークシート方式で、必須問題が50問、学説問題が160問、実地試験が120問あります。合計330問です。
出題範囲は獣医療の基本事項、獣医学の基本事項、衛生学に関する事項、獣医学の臨床的事項、と分かれています。
獣医師として絶対に覚えておかなければならない事項や、動物や公衆衛生に関しての事項は特に重要です。
獣医師は人間の医師と違い、外科や内科など診療科ごとに分かれていません。
なので、実際に働き始めると手術もしなければならないし、胃腸のトラブルなど内科的なことも対処する必要があります。
もちろん、薬剤に関しての知識も知っておく必要があります。
動物に処方する薬は、人間の薬の分量を動物の体重に合わせて決めています。
つまり、ほとんど人間の薬剤師と同じような知識を身につけておく必要があるということです。
かなり広い範囲を知っておく必要がありますし、手術もするので手先が器用でなければできません。
犬や猫に噛まれたり引っかかれたりすることも日常ですから、それに対しての免疫力も必要です。
これからの社会でニーズが高まる仕事
ペットブームに加えて、今後は高齢化社会でお年寄りが生きがいを求めてペットを飼うケースが増えていくことが予測されています。
子供が巣立ってしまい、寂しくなった中高年の夫婦がペットを新しく迎え入れるようなケースもあります。
ペットに一緒にいて欲しいと考えている誰かがいる限り、獣医師の需要は無くなりません。
それを考えると、獣医師はとても将来性のある仕事です。
ペットにとっても、獣医師以外に自分たちの体を治してくれる存在はいないわけですから、貴重な存在です。
獣医師は動物病院で働くのが一般的だと思われていますが、伝染病予防の検疫業務やペット向けの医療品の研究・開発などで働いている人もいます。
試験に合格して仕事に就くことができれば、やりがいのある仕事を手に入れることができるでしょう。
動物病院の場合は初任給が20〜25万円、獣医師全体の平均年収は600万円程度となっています。
国家資格を取らないと就けない仕事なので、給与水準が高めに設定されています。
獣医師は単に動物好きならできる仕事ではありません。
動物の怪我や病気を治すのに関わる以上、動物の死に直面することもあります。
また、猫だけが好きだったり、犬だけが好きという選り好みもできません。
どんな動物も平等に診て、飼い主に対応する必要があります。
もちろん、動物や飼い主への愛情ゼロではいけません。
愛情はあるけれども、ベタ惚れはしないという程よい距離感で接していける人こそ、本当に役立てる獣医師です。冷静に対処できる力も時には求められます。