人間による生産活動の結果、地球環境の破壊が進む中で、自然と人との共存を叫ぶ声が強くなっています。
環境を守るために必要な知識や技術を持つ人への需要が高まっていますが、その能力を示す一つの民間資格として環境管理士があります。
環境管理士の概要と目的
環境管理士は日本環境管理協会というNPO法人によって設立された資格です。
様々な環境問題に対して知識などを有していることを証明する民間資格で、資格制度としては昭和45年から開始されました。
特許庁への登録は平成16年で3万人以上の会員がいます。
基本的には、人間が地球で生活していくにあたって必要となる環境の保全や改善のために、指導的な役割を果たすことができる人のための職業資格という位置づけになっています。
現在の地球環境は、経済や科学技術の急激な発展により大気汚染や生物の絶滅など、いくつもの環境問題が起こっている状態です。
環境省などによって排ガスの規制等がなされていますが、環境を保全していくためには民間レベルでも必須となっています。
環境管理士の目的としては、そういった地球規模の環境汚染を防ぐために活動するだけでなく、日常生活や地域で発生している環境問題への対応をすることも活動の一つです。
自然や生活環境をより良いものへ改善していくとともに、働きやすさなども両立していくことが求められています。
業務内容や活動する分野
環境管理士の実際の活動分野は、非常に幅が広いと考えられています。
国の環境管理への取組みは、全国レベルで行われている規制のほかに、それぞれの地方自治体の条例によって取り決められている規制に大別することが可能です。
全国的な規制に関しては法律上で規定がなされていて、例えば大規模な水処理場では水質公害防止管理者などを置くことが義務となっています。
地方の条例の場合はそのような義務がないことが多いため、環境面での指導を行う役割として環境管理士が必要と考えられています。
個人での活動としては、地域で発生する環境トラブルに対して自治体と話し合ったり、コンサルティングをしたりといったことが主な内容となるようです。
会社単位での業務としては、土壌汚染などそれぞれの公害に対する規制を理解し、それに合った調査や分析などをすることもあります。
また経営という観点では、経営と環境のバランスを考慮して業務にあたることもあるでしょう。
例えば、その企業全体で使用する紙の量を減らすことで、環境への負荷をおさえるといったことが考えられます。
環境分野での資格の活用方法について
民間資格である環境管理士は、取得したからといってすぐに特定の職業に就くことができるわけではありません。
地球環境などについて関心があり、ある程度の知識を持っていることを示すことができる資格と言えます。
活用方法としては、就職時などで環境に関連した会社や部署を希望したい時にアピールとして使用することなどが考えられます。
そのほか、環境教育をはじめ地域の保全を行っているボランティアや、環境コンサルティングの組織などで活動しやすくなることが期待できるでしょう。
そこそこの規模の会社であれば環境保全活動を行っているところも多いため、そういった場所での活躍も見込めます。
実務経験や他の環境系の資格と組み合わせることで、活動に役立てている人も多いです。
企業に対して指導やアドバイスを行うのであれば、環境カウンセラーなどへ登録を行い、監査業務を行っている人もいます。
また、水質調査など技術の必要な分野の場合は、環境計量士などの資格を取得し組み合わせることで実務に役立てるといったことも考えられます。
資格取得の方法とその種類
環境管理士の資格は、検定や講座の受講などによって取得することが可能です。
そもそもこの資格は、それぞれの知識や専門性に応じて、1級から6級にレベル分けされています。
検定試験では、全ての級を受験することができます。
通信講座を利用する場合は、受講する分野の数に応じて2級から4級まで取得することが可能です。
通学講座も存在しており、指定教育機関として登録されている大学の学生などであれば、受講することで1級から4級まで取得することができます。
1級が最も難しく、問題のレベルとしては実務能力を有していることが求められ、論述式で回答しなければいけないものもあります。
内容としては、環境に関する基本的な知識だけでなく、環境関連法や有害物質についての知識なども必要です。
検定試験は毎年6月と11月に行われ、4カ所の会場で実施されます。
免許登録を希望する場合は、基本的には4級以上の講座を修了するか試験に合格した後、申請をすることで登録することができます。
登録をすると業務上必要があれば、環境管理士を称号として使うことが可能です。
最後に
自然環境や生活環境を改善していくために、必要な活動をする役割を担うことができる人材として環境管理士が期待されています。
資格を取得する過程で環境関連の基礎知識を学ぶことができ、場合によっては環境分野への部署異動などの際に役立だせることができるでしょう。