ドキュメンタリー映画は事実をもとにして、監督の目というフィルターを通して描かれた作品です。
似たものに報道特集やノンフィクションがありますが、報道特集は事実だけが取り上げられ、ノンフィクションは事実を基にしながらも実際にはなかったエピソードも盛り込まれることがあることに違いがあります。
ドキュメンタリー映画は普段隠されたり見えなかったりする「真実」にスポットライトを当て、生々しい現実社会の問題点や知られざる感動を人々に伝えてくれます。
作り物ではない分衝撃や影響も大きく、見る人の心を激しく刺激します。
ドキュメンタリー映画には、自分1人では決して網羅しつくせない世界中で起こっている出来事、真実を、映像を通して知ることが出来るという素晴らしい魅力があります。
おすすめ作品とその魅力
1.マイケル・ジャクソンの記録「THIS IS IT」
世界的に有名なスーパースター、マイケル・ジャクソンは2009年に亡くなりましたが、その直前に行われるはずだった彼の最後のライブツアーのリハーサル風景を編集して作られた映画「THIS IS IT」は遺族の反対を受けたことなどでも話題となりました。
2009年にケニー・オルテガ監督によって制作・発表されたドキュメンタリー作品です。
タイトルは彼自身が最後のツアーを行うにあたっておこなった発言「When I say this is it, it really means this is it.」が基になっています。
「このツアーで最後と言ったら最後なんです」というような意味になります。
世界で知らない人がいないほどのスーパースターでありながら、仕事にかけては非常にストイックに真摯に取り組む姿や、スタッフなど周りにいる人々に分け隔てなく平等に接する姿が収められています。
この作品を見れば、彼がどんなに素晴らしいミュージシャンでありエンターテイナーであったかがひしひしと感じられます。
この映像が取られたすぐ後に亡くなったマイケルですが、体調の優れない中で懸命に体を動かす生々しい様子が記録として残されています。
マイケル・ジャクソンは世界中の人に多大な影響を与え、現在でも彼の残した曲は多くの人々に愛され続けています。
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2.アカデミー賞ドキュメンタリー映画賞受賞作品「ダーウィンの悪夢」
ナイルパーチという巨大魚をモチーフにしながら、グローバル経済の引き起こす問題にスポットライトを当てたドキュメンタリー映画で、世界中に衝撃を与えた傑作です。
ナイルパーチはアフリカ熱帯域の河川などに広く生育し、主に日本やヨーロッパに食用魚として輸出されています。
もともとはイギリスから持ち込まれた外来種ですか、在来生物に多大な影響を与え、特にヴィクトリア湖では絶滅種や絶滅危惧種が多く出ています。
作品の中ではヴィクトリア湖の問題を研究者が危惧し、アフリカとヨーロッパの会議に陳情しても無視されたことから、その原因に迫っていく様子が描かれます。
アフリカに武器を輸出したヨーロッパの飛行機には帰途にナイルパーチの加工品が積み込まれているという証言が描かれ、グローバル経済の恩恵を受けるヨーロッパや日本の陰で、非衛生的非人道的な生活を余儀なくされるアフリカの人々の実態が描かれます。
エイズに罹患し道端で死にかけている人やそれを見ても助けようとしない人々、暴力が横行する社会、悲惨な売春の実態などが生々しい切り口で描かれ、当時はあまりの悲惨さや生々しさにやらせを疑う声も出たほどです。
識者からはすべてをナイルパーチに結びつける展開に疑問を投げかける意見も聞かれ、日本での劇場公開時には駐日タンザニア大使から「映画の内容が事実に基づいていない」と抗議を受けるなどの波紋も広がりました。
いずれにしろ大変衝撃的で生々しい内容の映画で、事実がどうであるかはともかく、これに類する出来事が先進国の繁栄の陰に存在していることは間違いありません。
先進国に生きる我々は豊かな生活の陰で苦しむ人々がいるのだというこの作品の警告から目をそらすことはできません。
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3.放射性廃棄物処理について描く「100,000年後の安全」
フィンランドの放射性廃棄物施設を描いたドキュメンタリー作品で、日本人なら見ておくべき問題作です。
2011年にマイケル・マドセン監督・主演で制作されました。
フィンランドに実在する放射性廃棄物処理施設「オンカロ」では、あと100年ほどで廃棄物が満杯となる予定です。
それまでの安全性確保にも多くの問題がありますが、それらの廃棄物問題が解消され安全レベルに到達するためには、実に10万年を要するという事実がむしろ淡々と描かれています。
オンカロでは放射性廃棄物を地下深くの地層に処分し、10万年間保持するように設計されています。
約100年後に廃棄物が満杯になると、その時点で施設は封鎖され、二度と開けられないようになっています。
しかし、10万年後の人々に、その危険性を確実に伝える方法はあるのか、というところにこの映画のポイントがあります。
イデオロギー色はほとんどなく、SF世界のような地下施設が印象的な音楽やカメラワークによって写し出され、そのことが一層生々しい現実の危機感を際立たせています。
このドキュメンタリーを見たことで脱原発に転換した政治家も出現したほど、計り知れない影響を世界に与えました。
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