フィルム・ノワールというものをご存知でしょうか?
映画のジャンルのひとつですが、明確な定義が難しいものでもあります。
そんなフィルム・ノワールと作品について紹介します。
あまり馴染みのないフィルム・ノワールとは?
フィルム・ノワールの意味や特徴は?
フィルム・ノワールはフランス語Film noirから来たもので、直訳すると「暗い映画」を意味します。
フランスの映画雑誌「レクラン・フランセ」の1946年8月号の中で、批評家であり脚本家でもあるニーノ・フランクによって初めて使われたと言われており、この時は第二次世界大戦中にアメリカで製作された「マルタの鷹」「飾窓の女」などの一連の犯罪映画を指して使われたとされています。
その後、多くの評論家や研究家などによってフィルム・ノワールの定義が試みられてきました。
第2次世界大戦時にナチスによって迫害されたユダヤ人の映画関係者がアメリカに逃亡して来たことで、彼らによってアメリカで作られた作品群を指すとされることもあります。
フリッツ・ラング、オットー・プレミンジャー、ビリー・ワイルダーらはフィルム・ノワールの名作を撮った監督達ですが、いずれもナチスドイツから逃れて亡命してきた人々です。
一方で、フランス製ギャング映画を「フレンチ・フィルム・ノワール」と呼んで区別することもあります。
ジャン=ピエール・メルヴィルやジョゼ・ジョヴァンニなどの作品がその代表です。
分かりやすく大雑把に言うと、フィルム・ノワールに分類される多くの作品はモノクロであり、画面の陰影のコントラストが利いていて、夜に撮影されることも多く、主人公は大抵パッとしないろくでなしで、美人の悪女「ファム・ファタール」(運命の女)が絡んでくることによって、人生をさらにダメにしていくような救いようの無い、破滅的、退廃的な色合いが特徴の作品ということが出来るでしょう。
フィルム・ノワールの代表作といえば?
フィルム・ノワールの代表作としてよく定番として挙げられるのは、ビリー・ワイルダー監督の「深夜の告白」や「サンセット大通り」です。
・深夜の告白
フレッド・マクマレイの演じる保険外交員が、バーバラ・スタンウィックの演じる美人の人妻に誘惑されて不倫関係となってしまい、人妻に唆されて保険金殺人の完全犯罪を計画実行しますが、破綻してしまうお話です。
・サンセット大通り
サンセット大通りにある大邸宅で起こる殺人事件をめぐるお話です。
売れない脚本家のジョーが、大邸宅に住むかつての大女優で今は落ちぶれたノーマに見初められ執着されます。
ノーマは忠実な執事によって今も人気女優であると思い込まされていましたが、ジョーは他の女性と恋仲となり、ノーマがもはや忘れられた存在であるという真実を彼女に突き付けたために、ノーマによって銃殺されてしまうのです。
・郵便配達は二度ベルを鳴らす
こちらも有名な作品です。
何度も映画化された名作ですが、1946年テイ・ガーネット監督による作品ではジョン・ガーフィールドとラナ・ターナーが主演を務めました。
青年フランク・チェンバースはガソリンスタンド兼レストランの店主の妻コーラに惹かれ、店で働き始めます。
二人はすぐに不倫関係に陥り、夫を殺害する計画を立て自動車事故に見せかけて殺してしまいます。
検事サケットによって疑われた二人が破滅に至る姿が描かれます。
フィルム・ノワールの傑作・名作は枚挙に暇がないほど多くありますが、悪女が登場する作品も多く、主人公が破滅に至るブラックなストーリー展開を見せる特徴を持っています。
フィルム・ノワールを登頂した近代作品とは?
近代になって作品はカラーフィルムが標準となったことや、ハリウッドが全盛時代を過ぎて元気がなくなったことなどで、フィルム・ノワールは制作が一時下火になりました。
倫理コードに関するルールが時代に応じて変動し、厳しくなったり緩和されたりしたことで、フィルム・ノワールに特徴的な性的描写や暴力シーン、犯罪シーンに多大な影響を与えました。
1960年代以降では、フィルム・ノワールは演出として作品に取り入れられる技法のような扱いとして利用されることも多くなり、「ブレードランナー」はSF映画の金字塔と言われる作品ですが、フィルム・ノワールタイプのモチーフを備えた作品として知られています。
「チャイナタウン」や「LA.コンフィデンシャル」はフィルム・ノワール全盛時代を舞台とし、ストーリー展開にもその影響を色濃く反映しています。
また、フィルム・ノワールのモノクロ調を登頂するため、わざとカラー作品ではなくモノクロを使用したり、暗めの色彩で仕上げる作品も登場しています。
日本映画においても、多くの監督がフィルム・ノワール的な特徴を持つ作品を手がけており、黒澤明、篠田正浩、深作欣二、石井輝男、鈴木英夫、北野武、石井隆、三池崇史、押井守らの作品にはその影響がうかがえます。
第2次世界大戦前後に作られたレジェンドともいえる数多くのフィルム・ノワール作品は、現代に至るまで多くのファンに愛され視聴されてきました。
作品の作り手にも多大な影響を与え、現代作品に与えた影響は計り知れません。
普段あまり馴染みのないフィルム・ノワールという言葉ですが、実際には知らず知らずのうちに見たり聞いたりして経験してきているのかもしれませんね。
Title
[…]one of our guests just lately suggested the following website[…]