オリンピック水泳選手の出場枠はどう決まる?

オリンピックの水泳競技において、出場権利が与えられるのは、1つの国の中で各種目2名までとなっています。

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原則は1カ国につき各種目2名まで

オリンピック参加標準記録というものがあり、標準Aを超えている場合には最大2名、標準Aをクリアする人がいない場合には、標準Bをクリアした人1名が、オリンピックの出場権利を獲得することができます。

一方、オリンピックのたびに、明らかに水泳選手としての体型ではないような人が選手として登場し、到底予選をクリアできないであろうタイムで泳ぐ選手が存在します。

こうした選手は、アフリカなど水泳があまり盛んではない地域に多く、この場合は特別枠を行使して選手として出場することが可能です。これは、参加することに意義があると言われるオリンピックの精神にのっとっており、一生懸命泳ぐ姿に多くの人が感動します。

シドニーオリンピックで、100メートル自由形に登場した赤道ギニアのムサンバニ選手は、国内に25メートルのプールすらない中、過酷な環境で練習し、当時の100メートル自由形の世界記録より2倍以上遅いタイム、2分近いタイムでゴールし、一躍有名となりました。

その後、スポンサーが集まり、4年間をかけて強化した結果、1分を切るタイムで泳ぐことができるなど、オリンピックに参加したことでの収穫と言えます。

このように、特別枠を行使し、水泳の文化があまりない選手たちが参加できるように、門戸を開いているのが水泳競技の特徴であり、多くの国に出場権利が与えられる形にしてあります。

このため、水泳の競合国には狭き門と言われ、選考会は白熱した戦いとなります。

日本躍進の背景にある選考基準の厳しさ

日本選手がオリンピックに出場するには、水泳の日本選手権で成績を残すことが絶対条件であり、原則として一発勝負です。前年の世界選手権で優勝した場合に限り、出場権利が与えられますが、それ以外は日本選手権で2位以内に入らなければ、オリンピックには出られません。

しかも、さらに厳しい条件として、仮に2位以内に入ったとしても、日本水連が独自に決めた派遣標準記録を上回らなければ、出場することはできません。その派遣標準記録は、過去数年の世界ランキングを参考に算出され、16位以内の成績を出す必要があります。

それまでにどれだけ結果を出していても、日本選手権で派遣標準記録を上回らない限り、出ることはできないため、かなりシビアです。

一方、リレー種目に関しては若干緩く設定されており、個人種目での派遣標準記録を達成していなかったとしても、オリンピックの標準B記録を超えていれば、場合によって出場権利が与えられます。

日本があまり得意としていない自由形のリレーのメンバーを揃える時などに、個人種目では出場が叶わなかった選手が出ることができます。

こうした選考基準を取り始めてから、日本の水泳界は飛躍的に成績を上げ、数多くのメダリストを輩出し、今まで苦手とされてきた自由形でも、アメリカなどの大柄な選手とも対峙できる選手が登場してきました。

派遣標準記録を達成しなければ出場できないという明確な目標、そして、誰でもわかりやすいシンプルな選考も、理由の1つとされていますが、このような選考基準にしたのは、ある苦い過去、水泳界の低迷期が関係しています。

派遣標準記録が定められたきっかけとなった事件

2000年のシドニーオリンピックの代表選考会において、世界選手権でのメダル経験があるなど、オリンピックにそれまで何度も出場してきた千葉すずさんが、代表選考会で優勝したにもかかわらず、代表になれず、スポーツ仲裁裁判所に提訴するということがありました。

この時に、標準A記録を突破したのに落選したということで、大きな問題となったのは記憶に新しいところです。それまでの代表選考では、日本選手権に2位以内なら代表内定という暗黙のルールがあったと言われており、その曖昧さも問題となり、その責任を一部問われることになりました。

この時に、今のような選考基準に改め、同時期に展開されていた組織的な強化も相まって、水泳界の躍進へとつながっていきました。

一方、バルセロナオリンピックで金メダルを獲得した岩崎恭子さんのように、派遣標準記録が存在したら、出場できたか微妙だったという選手も存在するなど、一概にそのシステムが完璧であるとは言えないという論調もあります。

分かりやすさ、記録さえ突破すれば自動的に内定となる仕組みにより紛れが起きないことなど、その部分での評価が高いため、今後もこのやり方が続くことになりそうです。

それまでは、1回のオリンピックで誰1人メダルを獲得することができなかったということもありましたが、シドニーオリンピック以降は複数のメダルを獲得し、金メダリストも頻繁に出てくるようになっています。

水泳界の苦い過去、教訓を活かし、強化につなげてきたことが、多くのスター選手を水泳界から生み出す要因となっているのは、言うまでもありません。

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