くるくると巻いた葉が特徴のゼンマイは、渓流などの近くに生える春の山菜です。日本国内では、沖縄から北海道まで、国外でも樺太、から中国、ヒマラヤまで広く分布しています。
きれいなうずまき状の新芽は、綿毛に覆われていますが、成長すると毛は無くなります。
ゼンマイを美味しく調理する一番大切なステップは、アク抜きです。それさえ出来れば、様々な調理法でこの山菜を楽しめます。
アク抜きには重曹が必要です
洗えばすぐ食べられるわけではないのが、ゼンマイの山菜らしいところです。食べる前に、必ずアク抜きをしなければなりません。
作業自体は簡単なのですが、重曹の溶液に数時間浸すことを前提に、予定を立てる必要があります。
用意するものは、ボール、水、重曹、鍋、熱湯、そして軍手かゴム手袋です。まず、綿毛がついていたら、それを取り除きます。素手だとアクで手が大変汚れてしまうので、軍手かゴム手袋を使いましょう。
次に、ボールに水を張って、芽の部分を優しく揺らすようにして汚れを落とします。この汚れ落としをしている間に並行して、大き目の鍋にお湯を沸かしておきます。
2、3分さっと茹でてから、ざるに上げます。この後、重曹を溶かしたひたひたの水に、3時間ほど浸します。次に根元から裂き、水を入れ換えて、さらに3時間浸せば、アク抜き終了です。
さらに簡易なアク抜き方法として、茹でた後、重曹を溶かした熱湯に浸して一晩置いて、その後ゆすぎ、水を換え、水にさらした状態で保存という方法もあります。
手間は、こちらの方がかかりませんが、時間的には長めに重曹水に浸しておかなければなりません。
最初の方法は、手間はかかるものの、やや短時間で済み、茹で加減のコツをつかめば、ゼンマイの食感を好みの固さに調整することもできるというメリットがあります。
ゼンマイのさっぱりとした食べ方
ゼンマイには、多種多様な調理法がありますが、さっぱりとした料理であれば、簡単かつ失敗がほとんどありません。さっぱりとした料理とは、具体的には、おひたしや和え物です。
これらは、山菜調理の入門編として大変適しています。おひたしの場合、あく抜きしたゼンマイを、天日干しして、一旦乾燥させてから水で戻します。
そして、さっと塩を加えた熱湯で湯がいて、冷水に浸し、水気をしぼれば基本的には完成です。味付けは、お好みでどのようにでもできます。
おすすめは、麺つゆ、ごま、みりん、鰹節です。和え物には色々種類がありますが、ゼンマイの調理法として人気があるのは白和えです。
水戻しした乾燥ゼンマイを揃えて並べ、3cmくらいの長さに切り、油で炒めて、醤油と砂糖で下味をつけておきます。
重しを使うなどして水気を切った豆腐にすりゴマ、砂糖を混ぜ合わせ、そこにゼンマイを加えてさらに混ぜ合わせれば出来上がりです。
コツは、豆腐の水気を十分に切っておくことで、そうしないと美味しくなりません。ちゃんと水切りをすれば、日本のふるさとの味のする白和えになります。
炒めものでも煮物でも美味しくいただけます
ゼンマイは、油との相性も抜群です。一番シンプルなのは、戻した乾燥ゼンマイをゴマ油で炒め、だし汁で煮て、砂糖や醤油などの調味料で味をつける方法です。
これでもう十分に美味しく食べられますが、豚バラ肉やニンジンと炒めれば、食べ応えのあるおかずになります。
乾燥ゼンマイを、豚肉とフキとタケノコと炒め、醤油、みりん、酒とほんの少しの鷹のツメを加えて味付けをしても、ご飯の進む一品がすぐにできます。ゼンマイが芽吹く春らしい一品に、里芋とゼンマイの煮物があります。
アク抜きした生のゼンマイを食べやすい大きさに切り、短冊に切り油抜きしたうす揚げと共に鍋に入れ、ゴマ油で炒めます。
油がまわる程度に軽く炒めたら、皮を剥いて下茹でした里芋を入れ、軽く鍋を振ってから、出汁、醤油、みりん、砂糖の調味料を加え、強火で沸騰するのを待ち、その後、落し蓋で弱火で15分加熱し、火を止めて冷まし、味を調えれば完成です。
この煮物は、冷蔵庫に入れておけば4、5日くらい保存可能です。焦らずに鍋を揺さぶるように混ぜると、里芋の煮崩れを最小限にできます。
工夫次第で拡がる調理法
日本らしい、ふるさとの味を堪能できる山菜料理ですが、ゼンマイなら中華料理や韓国料理も作れます。例えば、ベーコンと中華風炒め煮にしても美味しいです。
この料理では、まず、ベーコンを5mm幅に切ります。次に、ゼンマイを数cm程度に切り、フライパン上でほどほどに火の通ったベーコンに加えます。
料理酒と醤油を加え、しばらくしたら、水と中華味の調味料を加え、水がなくなるまでいため、ゴマ油を適量回しがけしたら完成です。
盛り付けの時に、小口ネギを散らしたり、お好みでシャンツァイのみじん切りをかけるとさらに中華風になります。定番のナムルも、簡単にできます。
フライパンにゴマ油を引き、ゼンマイを炒めたら、醤油、みりん、酒を入れ、弱火にして馴染ませてから白ゴマをふりかけ、かき混ぜて完成です。
醤油が馴染むように、ゆっくりじっくり弱火で火を通すのがコツです。このナムルにモヤシなどを加えても美味しくなります。ナムルがあれば、例えば、ビビンバなどの韓国料理も格段に美味しくなります。
お好みで、ほんだしやすりおろしたニンニク少量を加えても、美味しいです。
最後に
山菜料理は、古くから郷土の料理として愛されてきました。
特別な感じはしなくても、食べるとホッとするような山菜料理の中でも、とりわけゼンマイの料理は、アク抜きさえしっかりすれば、失敗も少なく、山菜料理入門としておすすめできます。
タケノコと一緒に炊き込みご飯にしてみたり、少しだけ洋風にチーズソテーやスープなど、飽きずに楽しめる食材です。
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